第66章

葵は送金記録のデータをスクリーンに投影した。

三年前の六月十七日、水原グループのファミリーオフィス予備口座から三十万が送金されている。受取人は民政局システムの外注保守チームの一員。担当者の電子署名には『奈央』とあった。

奈央の泣き声がピタリと止む。

葵は淡々と告げた。

「六月十八日、あなたが決裁書類を送った。六月十九日、藤原家実家の承認ルートが呼び出された。六月二十三日、堂田嘉春が死亡。そして六月二十八日、あなたは藤原家へ赴き、調査の打ち切りを要求した」

奈央は両手で耳を塞いだ。

「やめて……もう言わないで」

「どうして言っちゃいけないの?」

「誰も殺すつもりなんてなかった!...

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